雛人形を選ぶとき、顔立ちやサイズ、価格に目がいきがちですが、
実は「装束の色」もとても重要な要素のひとつです。
というのも、雛人形の衣装は単なるデザインではなく、
身分や立場を表す“意味のある色”で作られているからです。
私が「黄櫨染(こうろぜん)」という色を意識するようになったのは、
京都・広隆寺を訪れたことがきっかけでした。広隆寺には、秘仏として知られる聖徳太子像があります。毎年11月22日に行われていました広隆寺御火焚き祭のみ御開帳。(令和2年より6年まで御開帳なし)
実際に装束を祭りしか見ることができず実際に見たことはありませんが、
その像が黄櫨染の装束を身にまとっていると知り、強く印象に残りました。
聖徳太子は、父や叔母が天皇であったとはいえ、
自身は天皇に即位した人物ではありません。
にもかかわらず、
本来は天皇が即位の際に身にまとう黄櫨染の装束を着ている。
「なぜなのだろう?」
そんな疑問が、ずっと頭に残りました。
詳しくは別記事で書いています▼

そして改めて雛人形を見たとき、
ふと気づいたのが「おひな様の立場」です。
お内裏様は、雛祭りの世界において
天皇を象徴する存在。
そう考えると、
お内裏様が黄櫨染の装束を身にまとっていることは、
決して不思議なことではありません。
実際、雛人形の中には
黄櫨染の装束を再現したものも存在します。
華やかさよりも、
由緒や格式、意味を大切にしたい人にとって、
黄櫨染という色は強く惹かれる要素なのかもしれません。
■ 黄櫨染とは?(文化・歴史)
黄櫨染(こうろぜん)は、古くから天皇のみが身にまとうことを許された特別な色として知られています。
単なる「黄色」や「茶色」ではなく、皇位・儀式・格式と深く結びついた、日本の伝統色のひとつです。
天皇の装束としての色
黄櫨染は、天皇が即位の際に身にまとう「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」に使われる色です。
この装束は、即位礼や大嘗祭といった重要な儀式で着用されるもので、本来は天皇以外が身につけることは許されていません。
そのため黄櫨染は、
「高貴」「特別」「最高位」
といった意味合いを持つ、極めて象徴的な色とされています。
皇室・儀式との関係
黄櫨染が選ばれた背景には、
自然観と思想が関係しています。
この色は、太陽の光や大地の実りを連想させる色合いで、
「天と地をつなぐ存在」としての天皇を象徴する色と考えられてきました。
華やかすぎず、それでいて重みがある。
その絶妙なバランスこそが、儀式の場にふさわしいとされた理由です。
色の名前の意味
「黄櫨染」という名前は、
櫨(はぜ)の木の染料で染めたことに由来します。
櫨の実から取れる染料は、
黄色みのある茶色〜黄褐色に染まり、
光の当たり方によって金色にも見える独特の色合いを生み出します。
一言で表すなら、
落ち着きと気品をあわせ持つ、日本ならではの“格式色”。
この背景を知ると、雛人形に黄櫨染が使われている理由も、自然と腑に落ちてきます。
なぜ雛人形に黄櫨染が使われるのか
雛人形に黄櫨染が使われる理由は、とてもシンプルです。
雛人形が「天皇・皇后」を表している存在だからです。
お内裏様は“天皇の象徴”
雛人形のお内裏様は、平安時代の天皇の姿を表しています。
そのため、装束の色や形にも本来の宮中儀礼の決まりが反映されています。
黄櫨染は、
- 天皇のみが身にまとうことを許された色
- 皇位と直結する特別な装束の色
つまり、
格式を重視した雛人形ほど、黄櫨染が採用されやすいのです。
「不思議じゃない色」だから選ばれている
「雛人形で黄櫨染を見ると、ちょっと地味?」
そう感じる人も少なくありません。
でも実は、
天皇を表す存在が黄櫨染を着ていること自体は、まったく不思議ではありません。
むしろ、
- 伝統を重んじたい
- 本来の意味を大切にしたい
- 流行より“型”を選びたい
そんな人にとって、黄櫨染は自然で正統な選択になります。
格式重視の雛人形に多い理由
黄櫨染の雛人形は、
- 作家もの
- 老舗ブランド
- 古典的な立ち雛・親王飾り
に多く見られます。
見た目の派手さよりも、
意味・背景・品格を大切にした作りだからこそ、
この色が選ばれているのです。
「好み」で選んでいいけれど、知っておくと後悔しにくい
もちろん、
すべての雛人形が黄櫨染である必要はありません。
最近は、
- 明るい色味
- 写真映え
- インテリアになじむ配色
を重視した雛人形も多くあります。
ただ、
「黄櫨染って何?」を知らずに選ぶのと、
「意味を知った上で選ばない」のとでは、
あとから感じる納得感がまったく違います。
雛人形で黄櫨染を見るときの注意点(後悔ポイント)
黄櫨染は格式高く、意味のある色ですが、
選び方を間違えると「思ってたのと違う…」と感じやすい色でもあります。
購入前に、次のポイントは必ずチェックしておきたいところです。
① 写真と実物で色の印象が変わりやすい
黄櫨染は、
光の当たり方で見え方が大きく変わる色です。
- 明るい場所では金色っぽく見える
- 室内照明では茶色・黄土色に見える
- 写真だと少し地味に写ることもある
特にネット購入の場合、
「写真では落ち着いた色に見えたけど、実物は思ったより暗い」
またはその逆に感じることもあります。
👉 商品写真は
・アップ写真
・別カット
・レビュー写真
があるかを必ず確認しておくと安心です。
② 「地味」と感じる人も少なくない
黄櫨染は、
華やかさを前面に出す色ではありません。
そのため、
- ピンク系や明るい配色が好き
- 可愛さ・写真映えを重視したい
という人には、
少し落ち着きすぎて見える可能性があります。
「格式がある=誰にでも合う」わけではない、
という点は正直に押さえておきたいポイントです。
③ お部屋や飾り方との相性を確認する
黄櫨染は、
ナチュラル・和モダン・木目調のインテリアとは相性が良い一方で、
白やパステル中心の部屋では重く見えることもあります。
- ケース飾りか平飾りか
- 背景の色(屏風)
- 周囲の色味
まで含めて全体で見ることが大切です。
④ 「格式重視」だと理解して選ぶことが大事
黄櫨染の雛人形は、
- 伝統を大切にしたい
- 本来の意味を重視したい
- 流行に左右されたくない
という人に向いています。
一方で、
「とにかく今風で可愛いものがいい」
「インテリア優先で選びたい」
という場合は、別の配色の方が満足度が高いかもしれません。
⑤ 知らずに選ぶと後悔しやすい色でもある
黄櫨染は、
意味を知って選ぶと満足度が上がる色ですが、
知らずに選ぶと「なぜこの色?」と感じてしまうことがあります。
だからこそ、
- なぜこの色なのか
- どういう人向けなのか
を理解した上で選ぶことが、後悔しない最大のポイントです。
黄櫨染を使った雛人形の具体例
実際に黄櫨染が使われている雛人形は、
格式を重視した作家もの・老舗ブランドの商品に多く見られます。
ここでは代表的なタイプをいくつか紹介します。
① 正統派の黄櫨染 親王飾り
お内裏様の装束に、
正統派の黄櫨染 親王飾り(作家系・有職装束タイプ)
派手さはありませんが、
- 色の深み
- 織りの上質さ
- 全体の品格
がしっかり感じられるため、
「本来の雛人形らしさ」を重視したい人に選ばれています。
② 老舗ブランドの黄櫨染 雛人形
老舗ブランドが手がける黄櫨染の雛人形は、
伝統と安定感を求める人向けの選択肢です。
- 装束の色味がやや明るめ
- 全体のバランスが取りやすい
- 初節句・祖父母からの贈り物にも選ばれやすい
「黄櫨染は気になるけど、渋すぎるのは不安」という人にも向いています。
③ コンパクトサイズでも黄櫨染を採用したタイプ
最近は、
コンパクトな平飾り・ケース飾りでも黄櫨染を取り入れた雛人形が増えています。
- マンション・省スペース向け
- 落ち着いた色味で部屋になじみやすい
- 写真映えより“長く飾れる雰囲気”重視
という特徴があり、
「サイズは小さくても、意味のある雛人形を選びたい」人に人気です。
もっと黄櫨染のおひな様を見てみたい方はこちらへ👇
*黄櫨染のおひな様一覧へ*黄櫨染の雛人形はこんな人におすすめ
✔ 伝統や意味を大切にしたい
✔ 流行よりも“型”を重視したい
✔ 落ち着いた雰囲気の雛人形が好き
✔ 長く飾れるものを選びたい
逆に、
「明るくて可愛い雛人形がいい」「写真映えを最優先したい」
という場合は、別の配色の方が満足度は高いかもしれません。
黄櫨染を選ぶ人・選ばない人まとめ
黄櫨染(こうろぜん)は、雛人形の中でも伝統性・格式の高さを象徴する特別な色。
一方で、すべての家庭に向いているわけではありません。
ここでは「どんな人に向いているか/向いていないか」を整理します。
✔ 黄櫨染を選ぶ人
① 伝統・由来を大切にしたい人
- 天皇の装束「黄櫨染御袍」に由来する色に魅力を感じる
- 雛人形に意味・背景・歴史を求めたい
- 「なぜこの色なのか」をきちんと説明できるものがいい
→ 雛人形を“行事の飾り”ではなく、日本文化の象徴として考える人向け。
② 落ち着いた上品さを重視する人
- 派手すぎる色合いは好みではない
- 写真映えより、実物の品格を大切にしたい
- 長く飾っても飽きのこない雛人形を探している
→ 黄櫨染は時間が経つほど良さが分かる色。
③ 作家もの・正統派の雛人形を検討している人
- 親王飾りを検討している
- 衣装の織り・素材・色の深みを重視
- 百貨店系・老舗人形店のテイストが好き
→ 黄櫨染は作りの良さがそのまま出る色なので、
作家ものとの相性がとても良い。
✖ 黄櫨染を選ばないほうがいい人
① 明るく華やかな雛人形を求めている人
- ピンク・赤・白など「お祝い感」を強く出したい
- 写真映え・SNS映えを重視したい
- 初節句らしい“かわいさ”を最優先したい
→ 黄櫨染は落ち着いた色味なので、
華やかさ重視の人には物足りなく感じることも。
② 部屋が暗く、光が入りにくい家庭
- 照明が弱い
- 北向きの部屋で自然光が少ない
→ 黄櫨染は
光の当たり方で色の見え方が大きく変わるため、
暗い環境だと「思ったより地味」に見えることがある。
③ 写真だけで即決しようとしている人
- 実物を見ずに色の印象だけで選びたい
- 写真の色味をそのまま期待している
→ 黄櫨染は
写真と実物の印象差が出やすい色。
可能なら実物確認、もしくは「落ち着いて見える前提」で選ぶのが安心。
後悔しないための最終チェックリスト(黄櫨染の雛人形)
購入前に、次のポイントを一つずつ確認してみてください。
どれも「後から気づいてモヤっとしやすい」部分です。
☑ 色味について納得しているか
- 写真より落ち着いた色に見える可能性があると理解している
- 「華やかさ」より「品格」を求めている
- 暗めに見えても嫌ではない
→ ここで迷うなら、赤系・明るめ衣装も再検討を。
☑ 飾る場所の環境を想像できているか
- 飾る部屋は自然光や照明がある程度確保できる
- 北向き・照明が弱い場所ではない
- ケース入り/背景色との相性も考えている
→ 黄櫨染は光で印象が変わる色。
☑ 「誰のための雛人形か」が明確か
- 子どもが成長しても違和感なく飾れるものがいい
- 大人の目線でも「いいな」と思える
- 自分(親)が納得して選んでいる
→ 黄櫨染は大人になってから評価が上がるタイプ。
☑ 伝統性に魅力を感じているか
- 天皇の装束の色という背景に惹かれる
- 意味や由来を知るのが好き
- 「なぜこの色なのか」を語れるのが嬉しい
→ 背景に興味がないと、価値を感じにくいことも。
☑ 写真と実物の違いを許容できるか
- ネット購入であることを理解している
- レビューや複数写真を確認した
- 「想像と少し違っても大丈夫」と思える
→ 黄櫨染は写真依存で選ぶと後悔しやすい。
☑ 価格と満足度のバランスに納得しているか
- 派手さより作り・織り・質感に価値を感じる
- 「高い=豪華」ではないことを理解している
- 長く使う前提で考えている
チェックが多く付いた人へ
黄櫨染は、
「選んだ理由に自信を持てる人」ほど満足度が高い色です。
流行に左右されず、静かに価値が残ります。
迷いが多かった人へ
無理に選ぶ必要はありません。
雛人形は「気に入った」と思えることが何より大切。
他の色やテイストを見直すのも、後悔しない選択です。
それでも「他のタイプとも比べてから決めたい」と感じた方は、
雛人形をタイプ別・作家/ブランド別に比較した記事も参考にしてみてください。
▶︎ 雛人形はどれを選べば後悔しない?比較でわかる選び方
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まとめ|正解は1つじゃない
雛人形選びに、たった1つの正解はありません。
黄櫨染のような格式ある色に惹かれる人もいれば、
現代の住まいに合うコンパクトさや飾りやすさを重視する人もいます。
大切なのは、
- 見たときに「好き」と思えるか
- 自分(家族)の暮らしに無理なく飾れるか
- その雛人形を、毎年気持ちよく迎えられそうか
という相性の部分。
「本格的すぎるかな?」
「簡素すぎて後悔しないかな?」
そう迷うのは、それだけ真剣に考えている証拠です。
もし少しでも迷いが残るなら、
色・作家・ブランド・価格帯などを整理して比較することで、
自分に合う方向性が見えてくることもあります。
雛人形は、急いで決めなくても大丈夫。
納得できる選択ができたとき、それがあなたにとっての“正解”です。
雛人形全体の選び方をもう一度整理したい方は、
こちらのまとめ記事も参考にしてください。
👉 雛人形の選び方総まとめ

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